「仕事はひととおり回せるようになったけど、『このキャリアで本当にいいのかな』という迷いが消えない」「SNSを開けば、同期の昇進や友人の結婚が流れてきて、そのたびに胸がざわつく」「自分が本当は何をしたいのかも、よく分からない」
20代後半から30代にかけて訪れるそんな漠然とした不安や焦りは、クォーターライフクライシスと呼ばれる状態かもしれません。
本記事では、クォーターライフクライシスとは何かという言葉の由来から、起きやすい時期と背景、よくあるサイン、アイデンティティクライシスとの関係、そして迷いから抜け出すための考え方と相談先までを順番に整理します。
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クォーターライフクライシスとは?20〜30代に訪れる迷いの正体
クォーターライフクライシスとは、人生の4分の1(クォーター)が過ぎる20代後半から30代前半にかけて、多くの人が抱く漠然とした不安や焦燥感、憂うつな気分を指す言葉です。
「自分は何者なのか」「このままでいいのか」「本当は何がしたいのか」といった問いを深く考え込みやすくなる、心理的な低迷期だとされています。
言葉の由来
クォーターライフクライシスは、2001年に刊行された書籍『Quarterlife Crisis』(アレクサンドラ・ロビンス、アビー・ウィルナー著)で初めて使われ、そこから少しずつ広まった言葉です(出典:ロビンス、ウィルナー『Quarterlife Crisis』2001年)。
人生100年時代を前提にすると、20代後半はちょうど人生の4分の1が過ぎたあたり。社会に出て数年が経ち、自分の生き方を一度立ち止まって考えたくなる時期に重なります。
「低迷期」だが、誰にでも起こりうる
クォーターライフクライシスは一見つらい低迷期ですが、決してあなただけに起きている特別なことではありません。
こども家庭庁の令和5年度調査では、日本の20~24歳の75.8%、25~29歳の74.5%が、「自分の将来のこと」について「心配」または「どちらかといえば心配」と回答しています。(出典:こども家庭庁, 令和5年度)。生き方に真剣に向き合う人ほど通りやすい、ありふれた戸惑いだといえるでしょう。
つまり、いま感じている焦りは、あなた個人の弱さや努力不足のせいではありません。同じ時期に、同じような迷いを抱えている人が世界中にたくさんいるということです。「自分だけが取り残されている」という感覚こそ、この時期に生まれやすい思い込みの一つだと知っておくだけでも、少し肩の力が抜けることがあります。
理由がはっきりしないのに気持ちが晴れない状態は、すっきりしない気持ちの原因とモヤモヤの対処法でも取り上げています。
クォーターライフクライシスが起きやすい時期と背景
なぜ20代後半から30代前半に、迷いが強まりやすいのでしょうか。背景には、この世代ならではのいくつかの事情があります。
選択肢が多すぎて決められない
転職、副業、留学、結婚、独立。かつてより生き方の選択肢が大きく広がった一方で、「決まった正解」や手本になるロールモデルは少なくなってきています。
道が一本に定まっていないぶん、「この選択で合っているのか」という迷いが生まれやすくなります。「決まった正解がない自由」だからこその悩みだといえるでしょう。SNSで他人と比べてしまう
XやInstagramを開けば、同年代の活躍や充実した日常が絶えず目に入ってきます。
華やかに見える一面だけを切り取って自分と比べると、焦りや劣等感がふくらみ、自己肯定感(自分をありのままで受け止められる感覚)が下がりやすくなるかもしれません。SNSでの比較がつらいときの向き合い方は、自己肯定感が低くなる原因と克服方法も参考になります。
理想と現実のギャップに直面する
社会に出たての頃に思い描いていた理想と、数年働いて見えてきた現実。両者のずれが、この時期にはっきりと見えてきます。
「思っていた大人と違う」「もっとできると思っていた」という落差が、自信の揺らぎや無力感につながる可能性があります。
クォーターライフクライシスのよくあるサイン
自分がクォーターライフクライシスの状態にあるのか、心と行動のサインから確認してみてください。
心にあらわれるサイン
- 「このままでいいのか」という漠然とした不安が頭から離れない
- 同期や友人と自分を比べて、焦りや劣等感を感じる
- 何がしたいのか、自分でも分からなくなっている
- 仕事や日常に、以前ほどのやりがいや楽しさを感じられない
自分が何をしたいのか分からず不安なときは、不安なときにカウンセリングで気持ちを整理する方法もあわせて読んでみてください。
行動にあらわれるサイン
- 明確な計画がないまま、転職や退職を考え始める
- 資格取得や副業など、次々と新しいことに手を出したくなる
- 友人との集まりや連絡が、なんとなくおっくうになる
- 休日もぼんやりと不安で、心から休めない
はっきりした計画のないまま転職を繰り返してしまう前に、仕事が続かない原因と向き合い方を読んで、一度立ち止まってみることをおすすめします。
アイデンティティクライシスとの関係
クォーターライフクライシスの根っこには、「自分は何者なのか」という問い、つまりアイデンティティ(自分が自分であるという感覚)をめぐる揺らぎがある可能性があります。
アイデンティティは青年期だけの課題ではない
精神分析家エリク・エリクソンは、人の一生を発達段階に分け、青年期の課題を「アイデンティティ(自我同一性)対 役割の混乱」と呼びました。自分が何者で、社会の中でどんな役割を担うのかを模索する時期だという整理です(出典:エリクソンの発達段階説)。
本来この問いは10代で向き合うものとされてきましたが、進学や就職を経て社会が複雑になった現代では、20代後半から30代になって改めて「自分は何者か」を問い直す人が増えているのではないでしょうか。クォーターライフクライシスは、いわばこのアイデンティティの問いが再び前面に出てきた状態だといえるでしょう。
迷えるのは、真剣に生きている証拠
自分のアイデンティティが揺らぐのは、いまの生き方を本気で見つめ直しているからです。何も考えずに流されていれば、こうした迷いは生まれません。
迷いのただ中にいるつらさは確かにありますが、それは次の自分をつくり直そうとしている過程でもあります。自分を責める必要はありません。
クォーターライフクライシスから抜け出すための考え方
迷いの正体が見えてきたら、日々のなかでできることに目を向けていきましょう。焦って人生を大きく変えようとしなくて大丈夫です。
比べる物差しを「他人」から「過去の自分」に変える
SNSで誰かと比べて落ち込む苦しさの多くは、他人を物差しにすることから生まれることがあります。
比べる相手を、過去の自分に切り替えてみてください。1年前の自分と比べて、できるようになったことや乗り越えたことを一つ書き出す。それだけで、削られていた自信が少しずつ戻ってくるでしょう。自分を責める癖が強い方は、自己否定をやめて自己肯定感を取り戻す方法も読んでみてください。
「やりたいこと」より「やりたくないこと」から考える
「本当にやりたいことは何か」と正面から考えると、答えが出ずに苦しくなりがちです。
視点を裏返して、「これはもうやりたくない」「これ以上は我慢したくない」という項目から書き出してみましょう。避けたいことがはっきりすると、進みたい方向が消去法で見えてきます。自分を知る作業の進め方は、カウンセリングで自己理解を深める方法でも紹介しています。
大きな決断の前に、小さく試す
迷っている時期の勢いで、いきなり退職や大きな転職に飛びつくのは危険です。揺れているときの判断は、後悔につながりやすいからです。
興味のある分野を、まずは副業やボランティア、休日の学びとして小さく試してみてください。実際にやってみると「思っていたのと違う」「意外と向いている」と分かり、大きな決断の材料になることも。
たとえば、いまの仕事を辞めて別の業界に移りたいと感じているなら、まずは関連する資格の入門書を1冊読んでみる、その業界で働く人の話を聞いてみる、休日に単発の仕事を体験してみる、といった小さな一歩から始められます。実際に触れてみると、憧れだけでは見えなかった現実も分かり、勢いで会社を辞める前に冷静な判断ができることがあります。小さく試す過程そのものが、迷いを行動に変える練習にもなります。
一人で抱えず、迷いを言葉にする
漠然とした不安は、頭の中に留めておくほど大きく感じられます。誰かに話して言葉にするだけでも、迷いは整理されて輪郭がはっきりするかもしれません。
同期や友人が相手だと、見栄や張り合う気持ちが出て本音を話しにくいこともあります。そんなときは、利害関係のない第三者に話すという方法もあります。
人生の迷いを言葉にできる|オンラインカウンセリング「Kimochi」
クォーターライフクライシスの「自分はどう生きたいのか」という問いには、決まった正解がありません。だからこそ、一人で答えを探し続けると、堂々巡りから抜け出しにくくなります。
同期や家族には打ち明けにくい、でも一人では抱えきれない。そんなときに頼りやすいのが、オンラインで相談できるKimochiです。
Kimochiでは、国家資格を持ったカウンセラーが、あなたの迷いの整理を最後まで丁寧に手伝います。
カウンセリングでは、あなたの話を評価したり急かしたりせず、傾聴(相手の話をさえぎらずに受け止めて聴くこと)の姿勢で寄り添います。何がしたいのか分からないという段階から、一緒に言葉にしていく時間になります。
※18歳以上の方が対象です(18〜19歳は保護者の同意が必要です)。
オンラインカウンセリング「Kimochi」の特徴
- 国家資格を持つカウンセラーが対応
Kimochiに在籍するのは、公認心理師(日本で唯一の心理職の国家資格)を持つカウンセラーです。公認心理師には法的な守秘義務が課され、相談した内容が外部に漏れることは制度として防がれています。同期や職場に知られる心配なく話せます。
- 完全オンラインで匿名・顔出しなしOK
自宅にいながらビデオやチャットで相談できます。名前や顔を出さずに話せるため、人目を気にせず利用できます。
- ライフスタイルに合わせて選べる3つのプラン
月1回30分の利用から、月4回60分でじっくり話せるプランまで選べます。初月割引もあるため、まず試してみたいという方でも始めやすくなっています。
- 24時間予約可能・ビデオもチャットも対応
仕事の合間や休日でも予約でき、声を出して話すのがつらいときはチャットでの相談もできます。スマホ一つで始められます。
自分にカウンセリングが合うのか迷う段階の方は、仕事や生き方の悩みを相談する相手の選び方も読んでみてください。
迷いを言葉にしたいと感じたら、安心して話せる場所を探してみることも一つの選択肢です。
クォーターライフクライシスの相談先
一人で抱えきれないとき、頼れる相談先はカウンセリングだけではありません。目的に応じて使い分けてみてください。
働き方やキャリアの迷いを相談したいとき
- 地域若者サポートステーション(サポステ)。厚生労働省が委託する、働くことに悩む若者向けの支援機関です。キャリアの相談に無料で応じてもらえます。
- こころの耳(厚生労働省)。働く人のメンタルヘルスに関する電話・メール・SNS相談の情報がまとまっています。
気持ちのつらさが強いとき
漠然とした不安や落ち込みが続いてつらいときは、よりそいホットラインなどの窓口で、今の気持ちを聞いてもらうこともできます。24時間つながる窓口もあり、電話で話すのがつらい場合はチャットやメールで相談できるところもあります。誰かに一度話すだけで、頭の中でふくらんでいた不安が少し小さくなることもあります。
あわせて、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上ほとんど毎日続いていたり、眠れない・食欲がないといった状態が日常に支障をきたしていたりする場合は、我慢せず心療内科や精神科など医療機関に相談してください。クォーターライフクライシスは病気ではありませんが、背景にうつなどの不調が隠れていることもあります。
クォーターライフクライシスに関するよくある質問
クォーターライフクライシスは何歳ごろに起こりますか?
おおむね20代後半から30代前半に多いとされています。社会に出て数年が経ち、理想と現実のギャップや将来への不安が見えてくる時期と重なります。年齢はあくまで目安で、早い人も遅い人もいます。
どのくらいの期間続きますか?
続く期間には個人差があり、数か月で落ち着く人もいれば、数年かけて少しずつ整理されていく人もいます。無理に早く終わらせようとするより、自分を見直す時間として付き合うほうが、結果的に楽になりやすいとされています。
焦って転職してもいいのでしょうか?
迷いの勢いだけで大きな決断をするのは、後悔につながりやすいためおすすめしません。まずは副業や休日の学びなど、小さく試せる形から始めて、実際の手応えを確かめてから動くほうが安全です。
誰に相談すればいいか分かりません。
キャリアの迷いなら地域若者サポートステーションなどの公的機関、気持ちの整理ならカウンセリングというように、内容で使い分けると選びやすくなります。匿名で相談できるオンラインカウンセリングのKimochiのような場も選択肢になります。
ただの甘えなのではないかと思ってしまいます。
甘えではありません。生き方に真剣に向き合う人ほど経験する、自然な戸惑いです。多くの同世代が同じ迷いを通っていることが調査でも示されています。自分を責めず、成長の途中だと受け止めてみてください。
まとめ|迷いの中にいるあなたへ
クォーターライフクライシスとは何か、その背景やサイン、抜け出すための考え方を整理してきました。
20代後半から30代の迷いは、あなたが甘えているからでも、失敗したからでもありません。人生の4分の1が過ぎたこの時期に、多くの人が通る自然な戸惑いであり、自分の生き方をつくり直すための入口でもあります。
比べる相手を過去の自分に変える、やりたくないことから考える、大きな決断の前に小さく試す、そして一人で抱えず迷いを言葉にする。どれも今日から始められることばかりです。
もし気持ちのつらさが強く、日常に支障が出ているなら、我慢せず相談先を頼ってください。まだそこまでではないけれど心が晴れないときは、迷いを話せる場所を探すところから始めてみましょう。迷っているいまは、あなたが自分の人生と本気で向き合い始めた合図でもあります。