投稿して何度もアプリを開いていいねの数を確かめる。 上司の「よくやった」を、家に帰ってからも思い出す。 本当は気が進まない誘いでも、嫌われたくなくて「行きます」と返す。
そういう時間が積み重なると、じわじわ疲れていきます。
「認められたい」という願いは、隠さなくていい気持ちです。 けれど、その願いが暮らしの主導権を握ってしまうと、自分の機嫌を自分で決められなくなります。
本記事では、まず「承認欲求が強い」という言葉につきまとう誤解を外したうえで、あらわれ方を3つのタイプに分け、タイプごとに合う手当てを紹介します。
最後に、しんどさが体に出はじめたときの相談先もまとめました。 どこから読んでも構いません。
「承認欲求が強い」という言葉についての3つの誤解
対処法の前に、前提を整理させてください。 前提がずれていると、間違った方向に努力してしまうからです。
誤解1|承認欲求が強いのは、性格が未熟だから
承認欲求は、人が集団のなかで生きるうえで働いてきた仕組みです。
心理学者アブラハム・マズローが示した欲求階層の考え方では、所属や愛情に関する段階の次に、尊重をめぐる段階が置かれています(出典:A. H. Maslow "A Theory of Human Motivation" Psychological Review, 1943)。 そこには、他人から一目置かれたいという方向と、自分で自分を認めたいという方向の両方が含まれると説明されています。
つまり、認められたいと感じることは人として自然な動きです。 未熟さの証明ではありません。
誤解2|承認欲求が強いのは病気だ
「承認欲求 強い 病気」という調べ方をしたことがある方もいるかもしれません。 ですが、承認欲求の強さそのものに診断名がつくわけではありません。
強さは固定された性質でもなく、その時期の環境や疲労の度合いによって上下します。 繁忙期だけ極端に評価が気になる、という人も珍しくありません。
なお、この記事は診断を目的としたものではありません。 自分のいまの傾向を知る材料として読んでみてください。
誤解3|承認欲求はなくしたほうがいい
なくす方向を目指すと、たいてい行き詰まります。
そもそも「もっと良い仕事をしたい」「誰かの役に立ちたい」という原動力も、同じ場所から出ています。 消すのではなく、扱い方を変えるほうが現実的です。
具体的には、認められる場所を増やして、ひとつの評価に生活全体が揺さぶられない形をつくることです。
承認欲求が強い人の特徴を3タイプに分けて考える
同じ「認められたい」でも、どこで、誰から、どう認められたいのかは人によって違います。 合う手当ても変わるので、まず自分がどのタイプに近いかを見てみてください。
複数に当てはまることもあります。 当てはまるものが多いときは、いま一番消耗している場面のタイプから読み進めてください。
タイプA|数字で確かめたい「可視化タイプ」
SNSの反応や、目に見える成果で自分の位置を確認するタイプです。
- 投稿後、時間を置かずにいいねの数を見に行く
- 反応が伸びなかった投稿を、こっそり削除したくなる
- 同じ分野の知人の数字と、自分の数字を並べてしまう
- 寝る前にもう一度だけ、とアプリを開いてしまう
SNSは、承認が数値として表示される場所です。 以前は誰にも見えなかった「どのくらい好かれているか」が、桁数として毎日届きます。
やめられないのは、意志が弱いからというより、そういう仕組みの場所に長時間いるからです。
タイプB|評価で身分を保ちたい「実績タイプ」
職場や学校など、評価される場所で息苦しくなるタイプです。
- 提案する前に、否定されない言い方を延々と探す
- 抱えきれない量の仕事でも、断ると評価が下がる気がして引き受ける
- ミスの内容より「印象が悪くなったか」が気になる
- 感謝の言葉がない日は、自分がここにいる意味を疑う
成果が出ている間は保てますが、成果は必ず波を打ちます。 波の底に入ったとき、支えるものが何も残っていない状態になりやすいのがこのタイプです。
職場での消耗が続いているなら、職場の人間関係ストレスで仕事行きたくない…原因と限界な時の解消法7選もあわせて読んでみてください。
タイプC|嫌われたくない「関係維持タイプ」
特定の相手に嫌われないことが、行動の中心になるタイプです。
- 返信が遅いだけで、嫌われた理由を10通り考える
- 相手の機嫌が悪いと、原因は自分だと結論づける
- 恋愛でも友人関係でも、断ったあとはその日ずっと落ち着かない
- 会った後に「変なことを言わなかったか」を何度も反芻する
好かれるための調整が続くほど、素の自分を出す場所が減っていきます。 友人関係でのしんどさについては、友人関係の悩みはカウンセリングで相談できる?ストレスを感じる理由と対処法でも扱っています。
どのタイプにも共通して起きること
他人の成功を素直に喜べない瞬間が出てくることです。
うらやましさと、そう感じてしまう自分への嫌悪が、同時にやってきます。 二重の感情が一番つらい部分かもしれません。
ただ、それは冷たい人間だから起きているのではありません。 自分の価値を、他人との比較でしか測れない状態になっているだけです。
承認欲求が強くなる原因
自分を責めるためではなく、仕組みを把握するために読んでみてください。
条件つきで評価される環境にいた
点数が良かった日だけ機嫌がよくなる大人。 おとなしくしていた日だけ、優しくしてくれる大人。
そうした関わりが長く続くと、価値は差し出した成果と引き換えに手に入るもの、という前提が身についていきます。 成果が途切れた瞬間に不安になるのは、その前提がまだ働いているからです。
家庭での関わりに思い当たる部分があるなら、毒親の悩みはカウンセリングで楽になる?相談できる内容とアダルトチルドレンとの関係性も参考になります。
自分を支える土台が細い
成果と切り離して自分を扱える感覚が弱いと、価値の根拠を外に探しに行くしかなくなります。
土台は生まれつき決まっているものではなく、あとから太くしていけるものです。 つくり直し方については、自分が嫌い・自己肯定感が低い…。その原因と克服方法を解説で具体的に紹介しています。
比較が自動的に流れ込んでくる
いまは、他人の良い場面だけが編集されて手元に届く環境です。 自分の平均的な一日と、他人の一番いい瞬間が並べば、焦りが出るのは自然な結果だといえます。
疲れと睡眠不足が効いている
見落とされやすいのが体調です。
眠りが足りない日は、同じ出来事でも否定的な意味で受け取りやすくなります。 「今日はやけに評価が気になる」と感じたら、前の晩に何時間眠ったかを思い出してみてください。
気持ちの問題だと思っていたものの一部が、体力の問題であることは珍しくありません。
タイプ別|承認欲求との付き合い方を変える方法
ここからは、タイプごとの承認欲求との付き合い方について紹介します。 全部やる必要はないので、しんどさが一番出る場面から手をつけてみてください。
タイプA|意志ではなく設定で調整する
気にしないよう努力する方法は、たいてい長続きしません。 先に環境のほうを変えます。
- 通知をオフにする
- 見る時間帯を、朝と夜の2回に決める
- 比べてしまう相手を、フォローは外さずミュートにする
- スマホのホーム画面から、アプリのアイコンを外す
アイコンの位置を変えるだけでも、開く回数は目に見えて減ります。
あわせて、数字が出ない活動をひとつ持っておいてください。 記録も投稿もしない散歩や料理で構いません。
タイプB|承認の出どころを分散させる
職場の評価だけが支えになっていると、その場所が揺れたときに全体が崩れます。
仕事、趣味の集まり、家族、昔からの友人、通っているお店。 関わる場所が3つ以上あると、ひとつで冷たくされた日にも他が残ります。
新しい場所をつくるのが大変なら、連絡が途切れている関係をひとつ再開するだけでも構いません。
あわせて、自分で自分に記録をつける習慣が効きます。 一日の終わりに、できたことをひとつ書き留めるだけです。
「早めに起きた」「面倒な連絡を返した」程度で十分です。 外からの評価が来ない日でも参照できる記録が、手元に残っていきます。
タイプC|嫌われても壊れなかった経験を集める
全員に好かれることは、どうやっても不可能です。 それなら、断っても関係が終わらなかった経験を積むほうが早く楽になります。
好みが違うことを、一度だけ口に出してみる。 気の進まない誘いを、一回だけ見送ってみる。
失っても痛くない場面から始めてください。 何も起きなかったという結果が、次の一歩を支えます。
全タイプ共通|変化の速さについて期待を調整する
長い年月をかけて身についた感覚は、同じくらいの時間をかけてゆっくり動きます。
承認欲求の治し方を試して1週間で変化がなくても、それは失敗ではありません。 むしろ「早く結果を出さないと意味がない」という焦りそのものが、成果で価値を測る癖から来ています。
逆効果になりやすい2つの対処
よかれと思って選ばれやすいのに、悪化しやすい方法があります。
一気に大きな承認を取りに行く
一発で認められようと、大きな成果を狙う方法です。
たとえば昇進や資格の一発合格、SNSで数字が伸びる投稿、まわりが驚くようなプロジェクトの成功など、「これさえ出せば一気に満たされる」と思える行動が挙げられます。
達成した直後は満たされますが、基準が上がるだけなので、次はさらに大きな成果が必要になります。
上げ続ける繰り返しは体力が持ちません。
承認欲求が強い自分を責める
「こんなことを気にするなんて幼い」と自分を責めてしまうケースです。
自己批判は消耗するだけで、傾向そのものは変わりません。
自分への否定が増えるぶん、外からの承認への渇きはむしろ強くなります。
自分を責める癖が強いと感じるなら、自己否定をいますぐやめるには?カウンセリングを通して自己肯定感を取り戻すも読んでみてください。
一人で抱えるほど、こじれやすい理由
承認欲求の悩みは、人に言いにくいという性質を持ちます。
「認められたくてしんどい」と打ち明けること自体が、格好悪く感じられるからです。 言いにくさが重なって、頭のなかだけで考えが回り続けます。
評価と関係なく受け止められる時間になる
カウンセリングでは、うまく話す必要も、立派な結論を出す必要もありません。
成果を出さないまま話を聞いてもらう時間は、日常のなかではなかなか確保できないものです。 受け止めてもらう体験そのものが、外からの承認だけに頼る状態をゆるめていきます。
苦しくなる場面の共通点が見えてくる
誰の前で、どんな瞬間に不安が強まるのか。 一人で振り返ると、記憶が印象的な場面に偏ります。
第三者と一緒に整理すると、自分では気づかなかった共通点が浮かんできます。 起きた出来事そのものは動かせませんが、いまの受け止め方や抱え方なら調整できます。
利害の絡まない相手だから話せる
友人に相談すると、この先の関係を考えて言葉を選んでしまいます。 家族が相手なら、心配をかけたくない気持ちが働きます。
いっぽうカウンセラーとは、日常生活で顔を合わせません。 評価する立場でも、される立場でもない関係のなかで話せます。
なお、カウンセラーという言葉自体は誰でも使えます。 公認心理師は法律にもとづく国家資格で、相談内容についての守秘義務が制度として課されているため、選ぶときの目安になります。
実際に何を話すのか気になる場合は、カウンセリングで話すことや流れ、うまく話せない時の対処法を先に読んでおくと安心です。
承認欲求の悩みがある時に|オンラインカウンセリング「Kimochi」
「認められたい気持ちに疲れてきた」と感じたときに、自宅から使える場所としてKimochiというオンラインカウンセリングのサービスがあります。
オンラインカウンセリング「Kimochi」の特徴
- 国家資格を持つカウンセラーのみが在籍
Kimochiには、国家資格『公認心理師』を持つカウンセラーのみが在籍しています。資格や経験を持つ専門家が、気分の重さの背景にある気持ちを丁寧に整理する手伝いをします。
- 完全オンラインで匿名・顔出しなしOK
自宅にいながらビデオ・チャットで相談できるため、人目を気にせず、安心して利用できます。
- ライフスタイルに合わせて選べる3つのプラン
月1回30分の利用から、月4回60分でしっかり相談できるプランまで、自分のペースに合った形を選べます。初月割引もあるため、まずは試してみたいという方にもハードルが低くなっています。
- 24時間予約可能・ビデオもチャットも対応
家事や仕事の隙間時間で予約を入れられ、声を出すのがためらわれる場面では文字だけでやり取りするチャット形式も選べます。
同じ話を何度繰り返しても構いませんし、結論が出ないまま終わっても問題ありません。 言葉にしてみたいと感じたときに、寄り添います。
もし体調にはっきり影響が出ているときは、医療機関への相談を先に考えてください。
体調に出はじめたときの相談先
気持ちの整理だけでは追いつかない状態になっていることもあります。 次のようなサインが続くときは、我慢を続けないでください。
- 気分の落ち込みが2週間以上続いている
- 夜眠れない、あるいは朝どうしても起きられない日が続く
- 食欲が落ちている、または食べる量が止まらない
- 以前は楽しめていたことに、気持ちがまったく向かなくなった
- 消えてしまいたいという考えが、ふとよぎる
これらは弱さのあらわれではなく、心身が休息を必要としている合図です。 心療内科や精神科といった医療機関で状況を診てもらうことが、回復に向かう近道になります。
受診したからといって、すぐに薬を使うと決まるわけでもありません。 まず状況を話すだけでも意味があります。
限界が近いときのサインについては、精神的ストレスが限界を超えるサインとは?症状やリスク、解消法までを解説で詳しく紹介しています。
無料で使える公的な窓口
費用をかけずに話したいときは、公的な窓口も使えます。
- こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)
- 地域の保健所・保健センター
- 働く人向けの情報をまとめた、厚生労働省の「こころの耳」(0120-565-455)
- いのちの電話
どこに相談するか迷う段階なら、ストレスの相談はどこにするべき?誰にも言えない悩みを抱えた時の適切な相談先が判断の助けになります。
よくある質問
Q1. 承認欲求とはどういう意味ですか?
周りから価値のある存在として扱われたい、尊重されたいという願いのことです。 マズローの欲求階層の考え方では、所属や愛情の段階の次に置かれる欲求として説明されています。 特別な性格ではなく、多くの人が共通して持つ性質です。
Q2. 承認欲求が強いのは病気ですか?
承認欲求の強さそのものに診断名がつくわけではありません。 ただし、眠れない日が続いたり、気分の落ち込みが2週間以上続いたりしているときは、心療内科や精神科などの医療機関に相談してみてください。
Q3. 女性のほうが承認欲求は強いのですか?
性別で強さが決まるわけではありません。 求められる役割や、比較にさらされる場面の多さによって、あらわれ方に差が出ることはあります。 大切なのは平均値ではなく、自分がどの場面でつらくなるかです。
Q4. SNSの反応が気になって疲れます。どうすればいいですか?
我慢するより、設定を変えるほうが続きます。 通知を切る、見る時間帯を決める、比べてしまう相手をミュートにする、ホーム画面からアイコンを外す。 4つの操作は今日のうちに終わります。
Q5. 承認欲求を満たす方法はありますか?
外から集める量を増やすより、出どころを分散させるほうが安定します。 仕事以外の場所を持ち、自分でできたことを記録する。 他者承認と自己承認の両方に足場をつくることが、結果的に満たされた状態に近づきます。
Q6. カウンセリングは承認欲求の悩みにも使えますか?
はい、使えます。 受け止められる時間を持つこと自体が、外からの承認への偏りをゆるめる働きを持ちます。 どんな場面で不安が強まるのかを、一緒に整理していくこともできます。
Q7. 無料で相談できる窓口はありますか?
こころの健康相談統一ダイヤルや、地域の保健センター、いのちの電話などが無料で相談を受け付けています。 費用を抑えて相談する方法は、お金がないときでもカウンセリングを受ける方法5選!無料相談・セルフケアも解説でも紹介しています。
まとめ
承認欲求が強い状態は、性格の欠陥でも病気でもありません。 マズローの欲求階層にも位置づけられている、多くの人が共通して持つ性質のあらわれ方が、いま少し極端になっているだけです。
苦しくなるのは、承認の入り口がひとつしかなく、その評価に一日の気分が丸ごと左右されているときです。
数字で確かめたくなる人は、設定を変えて距離をつくる。 評価で身分を保とうとする人は、承認の出どころを分散させる。 嫌われたくない人は、断っても関係が終わらなかった経験を積んでいく。
背景には、条件つきで評価されてきた時間や、比較が流れ込んでくる環境、そして単純な睡眠不足があります。 どれもあなたの落ち度ではありません。
変化はゆっくりです。 何年もかけて染みついた感覚は、それと同じくらいの時間をかけて動いていきます。
長い道のりを、一人きりで進める必要はありません。 言葉にしたいことが出てきたら、話せる場所を使ってみてください。