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【監修記事】不登校の原因と対処法とは?親が知っておくべき心構えと支援について解説

「朝、子どもが起きてこない」
「お腹が痛いと言って学校を休みがちになった」
「部屋に閉じこもって出てこない」

ある日突然、あるいは徐々に始まったお子さんの「学校に行かない」という選択。

親としては、「このまま長く家から出られなくなってしまうのではないか」「私の関わり方に何か足りないところがあったのでは」と、不安や自分を責める気持ちで胸がいっぱいになることがあるかもしれません。でも、不登校は「弱さ」や「失敗」の結果ではありません。今のお子さんにとって、学校に行かないことが心や体を守るための精いっぱいの方法になっている場合もあります。

不登校は決して特別な家庭だけで起こることではなく、文部科学省の調査でも不登校の児童生徒数は増加傾向にあり、誰にとっても起こりうる身近なテーマになっています。

今、お子さんは言葉にならないつらさを抱えながら、なんとかバランスを保とうとしている最中かもしれません。そして、それを支える親御さんもまた、先の見えない不安の中で一人で抱え込んでしまうことがあります。

だからこそ、親子だけで頑張り続ける必要はありません。

この記事では、不登校の定義や背景として考えられる要因、身体的な不調との関連、そして親がどのような心構えで関わり、どこに相談先を持てばよいのかを、整理してお伝えします。
焦らず、今の状況を少しずつ理解していくところから始めましょう。状況が動くきっかけは、必ず見つかります。

 

(監修)たけうちファミリークリニック 院長
 竹内 雄毅 先生(たけうち ゆうき)

京都府出身。京都教育大学附属高校を卒業後、京都府立医科大学へ進学。
2009年より同大学にて初期研修を開始し、小児外科を専門に研鑽を積む。

京都府立医科大学大学院博士課程を修了後、兵庫県立こども病院にて小児外科フェローおよび医長を歴任。

長年にわたり、先天性疾患や小児がんをはじめとする高度医療の現場で診療に携わり、「こどもにも家族にもやさしい医療」を信条として地域医療に貢献。専門性の高い医療と、日常の不安に寄り添う身近な診療の両立を目指し、たけうちファミリークリニックを開院。

目次 全7項目を開く ▼ 閉じる ▲
  1. 不登校とは?定義やひきこもりとの違いを解説
    1. 文部科学省の定義する「不登校」
    2. 「ひきこもり」との違い
  2. 「ユニパス」やEBSA(感情に起因する不登校)とは?
    1. ユニパス(Unipath)
    2. EBSA(Emotionally Based School Avoidance:感情に起因する不登校)
  3. 不登校の原因とは?
    1. 心理的な原因
    2. 身体的な原因
  4. 不登校の子どもを持つ親の心理状況や抱えがちな不安とは?
    1. 子どもへの接し方が分からない
    2. 子どもの進路について不安を感じる
    3. 子どもの不登校について自分を責めてしまう
    4. 周囲の人からの視線が気になる
    5. 兄弟姉妹への影響に対する懸念
  5. 不登校の子どもを持つ親はどうすればいい?負担を軽くするためにできること
    1. 学校や地域の公的なサポートを活用する
    2. 親にも子にも居心地の良い家庭を作る
    3. 適切な心理的サポートを受ける
    4. 学校以外の学びの場という選択肢
    5. 正しい情報を集める
  6. 不登校の子どもを持つ親の心構えや考え方
    1. 不登校は親のせいではない
    2. 不登校はどんな家庭でも抱えうる問題
    3. 必ず学校に行かなければいけない訳ではない
    4. 子どもの気持ちと同じくらい親の気持ちも大事
    5. 不登校は新たな道を見つける過程と捉える
  7. 監修からのメッセージ

不登校とは?定義やひきこもりとの違いを解説

まずは、「不登校」とは具体的にどのような状態を指すのか、公的な定義や似た言葉との違いについて整理しましょう。現状を正しく理解することが、冷静な対応への第一歩となります。

文部科学省の定義する「不登校」

一般的に使われる「不登校」という言葉ですが、文部科学省では、下記のように明確な定義を定めています。

「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」

ここで重要なポイントは2つあります。一つは、「登校しない」という意思による場合だけでなく、「登校したくともできない」というケースも含まれること。もう一つは、風邪などの「病気」や、家庭の事情による「経済的理由」は除外されるということです。

つまり、本人は学校に行きたい気持ちがあるにもかかわらず、心や体が拒否反応を示して行けない場合も不登校に含まれます。単なる「サボり」や「怠け」とは根本的に異なる状態であることを理解しておく必要があります。

「ひきこもり」との違い

「不登校」とよく混同されがちな言葉に「ひきこもり」がありますが、この2つは定義や概念が異なります。

不登校は、主に「学校」という特定の場所に行けない状態を指し、その対象は小学生から高校生までの学齢期の子どもです。

一方、「ひきこもり」は厚生労働省によって「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と定義されています。年齢の制限はなく、成人後も含まれます。

不登校の状態が長期化し、学校卒業後も社会参加できない状態が続くと「ひきこもり」に移行するケースはありますが、不登校=ひきこもりではありません。不登校の子どもの中には、学校には行けなくても、フリースクールに通ったり、趣味の友人と遊んだり、家族とは普通に会話ができたりする子も大勢います。「不登校になったら将来ひきこもりになる」と過度に悲観するのではなく、まずは現在の「学校に行けない」という事実に焦点を当てて考えることが大切です。

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「ユニパス」やEBSA(感情に起因する不登校)とは?

近年、不登校に対する新しい捉え方や用語が登場しています。これらを知ることで、お子さんの状態をより多角的に理解できるかもしれません。

ユニパス(Unipath)

群馬県が独自に導入している取り組みで、「ユニーク(Unique)」と「パス(Path=道)」を掛け合わせた造語です。不登校を「問題行動」や「否定的なもの」として捉えるのではなく、「その子だけの独自の道」「新しい選択肢」として前向きに捉え直そうというメッセージが込められています。学校という画一的なルートに馴染めなかったとしても、それはその子が劣っているわけではなく、別のルート(ユニパス)を選んでいる過程なのかもしれません。この概念は群馬県特有のものですが、不登校に対する前向きな視点として全国的にも注目されています。

EBSA(Emotionally Based School Avoidance:感情に起因する不登校)

イギリス発祥の概念で、不登校の「状態」を表す言葉として注目されています。これは医学的な診断名ではなく、不安や抑うつ、恐怖といったネガティブな「感情」が原因で、学校に行くことが困難になっている「状態」を指す用語です。本人の意思や性格の問題ではなく、「感情のコントロールが難しい状態にある」と捉えることで、周囲は「甘え」と叱責するのではなく、不安を取り除くための情緒的なサポートが必要だと判断できるようになります。この概念は、子どもの困難を理解し適切な支援につなげるための枠組みとして、日本でも広がりつつあります。

不登校の原因とは?

子どもが学校に行けなくなる原因は、一つだけではありません。多くの場合、複数の要因が複雑に絡み合い、コップの水が溢れるようにして限界を迎えます。ここでは主な原因を「心理的」な側面と「身体的」な側面に分けて解説します。

心理的な原因

心に大きな負荷がかかり、学校という環境に耐えられなくなっているケースです。

学校生活・友人関係のストレス

不登校のきっかけとして最も多いのが、学校での人間関係や環境へのストレスです。いじめや仲間外れといった明確なトラブルだけでなく、「クラスの雰囲気が合わない」「先生が高圧的で怖い」「周りの空気を読みすぎて疲れてしまう」といった、言葉にしにくい居心地の悪さも大きなストレス源となります。また、学業不振や部活動でのプレッシャー、スクールカーストなどの目に見えない序列に苦しんでいる場合もあります。繊細な感性を持つお子さん(HSCなど)の場合、学校の騒がしさや競争的な空気に常に緊張を強いられ、エネルギーを消耗しきっていることも少なくありません。

家庭環境・親子関係のストレス

家庭内でのストレスが、学校へ行くエネルギーを奪っている場合もあります。両親の不仲や離婚、過干渉や過度な期待、虐待、あるいは親の介護(ヤングケアラー)など、家庭が「安全基地」として機能していないと、子どもは外の世界で戦う力を失ってしまいます。また、急激な生活環境の変化(転勤や引っ越し)が引き金になることもあります。ただし、これは「親が悪い」と責めるものではありません。親自身も余裕がない状況であったり、良かれと思って教育熱心になりすぎていたりすることもあります。

無気力

「いじめられたわけでもない」「勉強が嫌いなわけでもない」明確な理由が見当たらないのに、なんとなく学校に行く気力が湧かないというケースも増えています。これは「無気力型」とも呼ばれますが、本人が怠けているわけではありません。真面目で良い子を演じ続けてきた結果、燃え尽きてしまったり(バーンアウト)、自分の感情を抑圧しすぎて「自分が何をしたいのか」が分からなくなってしまったりしている可能性があります。本人にとっても理由が分からないため、「なぜ行かないの?」と問いただされることが大きな苦痛となります。

身体的な原因

「気持ちの問題」だと思われがちですが、実は背景に身体的な病気や障害が隠れていることがあります。根性論で解決しようとせず、医療的なアプローチが必要です。

朝起きられない「起立性調節障害」

思春期の子どもに多く見られる自律神経の病気です。自律神経の調整がうまくいかず、立ち上がった時に血圧が下がってしまい、めまい、立ちくらみ、動悸、頭痛、倦怠感などが起こります。特徴的なのは、朝起きることが非常に困難で、午後になると元気になってくるという点です。周囲からは「夜更かしをしているからだ」「怠けている」と誤解されやすいのですが、本人の意思ではどうにもできない身体の病気です。無理に起こしたり叱責したりすると悪化するため、医療機関での適切な診断と治療が必要です。

ストレスでお腹が痛くなる「過敏性腸症候群」

登校しようとすると激しい腹痛や下痢、便秘に襲われる病気です。検査をしても腸に異常は見つかりませんが、ストレスが自律神経を通じて腸に影響を与えています。「学校に行かなければ」というプレッシャーが腹痛を引き起こし、さらに「学校でトイレに行きたくなったらどうしよう」という予期不安が症状を悪化させる悪循環に陥りやすいのが特徴です。

睡眠リズムが崩れる「概日リズム睡眠障害」

体内時計が狂ってしまい、希望する時間に眠ったり起きたりできなくなる睡眠障害です。昼夜逆転の生活になり、朝学校に行く時間に起きられなくなります。ゲームやスマホの使いすぎが原因になることもありますが、起立性調節障害や心理的なストレスから二次的に発症することもあります。一度リズムが崩れると、自力で戻すのは非常に困難です。

発達障害(ASD・ADHDなど)の特性による疲労

発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)の特性を持っている場合、学校生活そのものが過酷な環境になっていることがあります。「聴覚過敏で教室のザワザワ音が耐えられない」「集団行動のルールが理解できず叱責され続ける」「友達とのコミュニケーションですれ違いが起きる」こうした特性による困難さが積み重なり、二次障害としてうつ状態や不登校になっているケースです。この場合、本人の努力不足ではなく、学校と連携した環境調整(合理的配慮)が必要です。

不登校の子どもを持つ親の心理状況や抱えがちな不安とは?

不登校は、子ども自身の問題であると同時に、親にとっても人生を揺るがす大きな出来事です。親の心もまた、傷つき、疲弊しています。ここでは、不登校の子を持つ親が抱えがちな心理状態について触れていきます。

子どもへの接し方が分からない

「無理にでも行かせるべきか、休ませるべきか」「腫れ物に触るように接していいのか、厳しく叱るべきか」正解のない問いの連続に、親は常に迷い続けています。優しくすれば「甘やかしている」と言われそうで怖く、厳しくすれば子どもが部屋に閉じこもってしまう。何を言っても、何を言わなくても状況が悪化するような気がして、子どもとの距離感が分からなくなり、家庭内が緊張状態になってしまいます。

子どもの進路について不安を感じる

「勉強が遅れてしまう」「高校に行けるのだろうか」「将来就職して自立できるのだろうか」親として、子どもの将来を案じるのは当然のことです。学校に行かない期間が長引けば長引くほど、社会から取り残されていくような焦りを感じます。特に、周囲の子どもたちが受験勉強や部活動に励んでいる姿を見ると、比較してしまい、絶望感に襲われることもあります。

子どもの不登校について自分を責めてしまう

「私が仕事を優先してしまったから」「もっと話を聞いてあげればよかった」「厳しくしつけすぎたのかもしれない」多くの親が、過去の子育てを振り返り、自分を責め続けています(自責の念)。不登校の原因は複合的なものであり、親一人の責任であることはまずありません。しかし、責任感の強い親ほど、自分を追い詰め、「私が悪いんだ」という思考のループから抜け出せなくなってしまいます。

周囲の人からの視線が気になる

「近所の人にどう思われているだろう」「平日の昼間に子どもが家にいるのを見られたくない」世間体を気にする気持ちは、親としてごく自然な感情です。親戚から「甘やかしているんじゃないか」と心ない言葉をかけられたり、ママ友との会話に入れなくなったりすることで、親自身が社会から孤立してしまうこともあります。周囲の視線が怖くて、買い物に行くのさえ億劫になる方もいらっしゃいます。

兄弟姉妹への影響に対する懸念

「お兄ちゃんだけズルい」「私も学校休みたい」不登校のお子さんが家にいることで、兄弟姉妹から不満が出たり、赤ちゃん返りをしたりすることがあります。不登校の子にかかりきりになってしまい、他の兄弟に寂しい思いをさせているのではないかという罪悪感や、兄弟全員が不登校になるのではないかという恐怖心を抱くことも、親の大きな悩みの一つです。

不登校の子どもを持つ親はどうすればいい?負担を軽くするためにできること

では、このような苦しい状況の中で、親はどうすればよいのでしょうか。すべてを家庭だけで解決しようとする必要はありません。負担を分散し、適切なサポートを活用することが、結果としてお子さんの回復にもつながります。

学校や地域の公的なサポートを活用する

まずは、学校との連携を維持しつつ、公的な相談窓口を利用しましょう。

  • スクールカウンセラー(SC):学校に配置されている心理の専門家です。子どもだけでなく、親の相談にも乗ってくれます。
  • スクールソーシャルワーカー(SSW):福祉の専門家です。学校と家庭、そして外部機関(医療や福祉)をつなぐ役割を果たします。
  • 教育支援センター(適応指導教室):自治体が設置しており、学校に行けない子どもたちが学習したり過ごしたりできる場所です。ここへの通所が出席扱いになることもあります。
  • 児童相談所・保健所:専門的な判断が必要な場合や、発達に関する相談ができます。

これらの専門家は、多くの不登校事例を見てきています。「どう対応すればいいか」の具体的なアドバイスをもらえるだけでなく、「一緒に考えてくれる人」がいるだけで心強くなります。

親にも子にも居心地の良い家庭を作る

不登校のお子さんにとって、今一番必要なのは「安心して休める場所(安全基地)」です。「学校に行け」というプレッシャーを取り除き、家の中をリラックスできる空間にすることが、エネルギー回復への近道です。

具体的には、

  • 学校の話題を減らす(雑談を増やす)。
  • 「おはよう」「おやすみ」などの基本的な挨拶を大切にする。
  • 子どもの好きな料理を作るなど、生活面でのケアを行う。

そして、これはお子さんのためだけではありません。親自身も、ピリピリした空気の中で過ごすのは辛いものです。「今日はもう学校の話はしない!」と決めて、一緒にテレビを見て笑う時間を作るなど、家庭内の空気を緩める工夫をしてみましょう。

適切な心理的サポートを受ける

親自身のメンタルケアも非常に重要です。親が不安でいっぱいだと、その不安は子どもに伝染します。逆に、親が少しでも安定していれば、子どもは安心感を覚えます。

  • 親の会に参加する:同じ悩みを持つ親同士で話すことで、「自分だけじゃない」と孤独感が和らぎます。先輩ママ・パパから有益な情報が得られることもあります。
  • カウンセリングを受ける:専門のカウンセラーに、親自身の不安や葛藤を吐き出してください。子どもの悩み相談ではなく、「親であるあなたの人生の相談」として利用しても良いのです。

学校以外の学びの場という選択肢

「学校に戻ること」だけがゴールではありません。今の時代、学びの場は多様化しています。

  • フリースクール:NPOや民間が運営する、学校外の学び場です。個々のペースに合わせた活動ができます。
  • 通信制高校・サポート校:自宅学習を中心に、少ない登校日数で高校卒業資格を目指せます。
  • オンラインスクール:自宅にいながら、オンラインで授業を受けたり、他者と交流したりできます。
  • ホームスクーリング:家庭を拠点に学習を進めるスタイルです。

「学校に行かなくても、学ぶ場所はある」「将来の選択肢はある」と知ることは、親子の焦りを鎮める大きな材料になります。

正しい情報を集める

インターネット上には、不安を煽るような情報や、根拠のない「不登校ビジネス」の情報も溢れています。惑わされないために、文部科学省や自治体の公式サイト、信頼できる医療機関やNPO法人が発信している情報を参照するようにしましょう。また、不登校に関する書籍を読んだり、講演会に参加したりして、不登校のメカニズムを「知識」として理解することも、不安の軽減に役立ちます。

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不登校の子どもを持つ親の心構えや考え方

最後に、親に持っていただきたい心構えや、視点の切り替え方についてお話しします。これらは、すぐに実践できなくても構いません。「こういう考え方もあるんだ」と頭の片隅に置いておくだけで、ふとした瞬間に心を軽くしてくれるはずです。

不登校は親のせいではない

不登校は、親の育て方のせいではありません。時代背景、学校環境、子どもの特性、偶然の出来事など、様々な要因が重なって起きた「事故」のようなものです。「私が悪かった」と自分を責めても、過去は変えられませんし、子どもも元気になりません。原因探しをして自分を裁くのではなく、「今、目の前の子どもに何が必要か」という未来志向に切り替えていきましょう。

不登校はどんな家庭でも抱えうる問題

「あそこの家はしっかりしているのに」「うちは普通だと思っていたのに」不登校は、教育熱心な家庭でも、放任主義の家庭でも、裕福な家庭でも、そうでない家庭でも起こります。「うちだけ特別におかしい」と卑下する必要はありません。誰にでも起こりうるライフイベントの一つとして捉え、過度に隠そうとしたり、恥じたりせず、堂々とサポートを求めていきましょう。

必ず学校に行かなければいけない訳ではない

日本では「学校に行くのが当たり前」という価値観が強いですが、世界を見ればホームスクーリングが一般的な国もあります。また、歴史上の偉人や現代の成功者の中にも、不登校経験者はたくさんいます。学校はあくまで「社会に出るための準備をする場所の一つ」であり、唯一の場所ではありません。「学校復帰」にこだわると苦しくなります。「社会的自立」を最終ゴールに据え、そこに至るルートは学校以外にもたくさんある(ユニパス)と考えることで、視野が広がります。

子どもの気持ちと同じくらい親の気持ちも大事

「子どものために私が我慢すればいい」という自己犠牲は、長続きしません。親が倒れてしまっては、子どもを支えることはできません。飛行機の酸素マスクと同じで、まずは親がマスクをつけて呼吸を確保しなければ、子どもを助けることはできないのです。美味しいものを食べる、趣味の時間を持つ、友人とランチに行く。親が自分の人生を楽しみ、笑顔でいることは、不謹慎なことではありません。むしろ、子どもにとって「大人は楽しそう」という希望を見せることにつながります。

不登校は新たな道を見つける過程と捉える

不登校の期間は、決して「無駄な時間」ではありません。学校というレールから一度離れて、心身を整えたり、自分のペースを取り戻したりするための大切な時間になることがあります。
この期間の経験は、必ずしも前向きなものばかりではないかもしれません。しかし、周囲の関わり方次第で、お子さんが後に「自分に合った生き方」を見つける、かけがえのないきっかけになり得ます。

今は焦って結論を急がず、必要なサポートを得ながら、一歩ずつ整えていきましょう。

監修からのメッセージ

不登校は「気持ちの問題」と決めつけられるものではありません。私たちはまず、身体的な要因が隠れていないかを丁寧に評価し、医学的に整えるべき部分があれば適切に対応することを大切にしています。

そして、学校復帰を急ぐことよりも、まず心身の安定を整えることを何よりも大切にしています。安心が回復してはじめて、次の選択肢が見えてくるからです。

焦らず、孤立せず、必要な支援を受けながら進んでいきましょう。

私たちは、医療者としての責任をもって、そのプロセスに伴走します。

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